尖足(せんそく)を見逃すな!【vol.139】

仰臥位、下肢のポジショニング。

四回目です。

今回のテーマは「尖足」です。

仰臥位、下肢のポジショニングでは

尖足の予防も大事な点です。

以外と見落とされていますね。

仰臥位では必ず対策を打つ必要があります。

と、その前に

尖足について説明をします。

「尖足」は「せんそく」と読みます。

「それぐらい知ってるし、読めるわよ!」

そう怒らないでください^^

読めない方もいますし、知らない方もいるんです。

事実、

介護施設の新人スタッフ研修を任されている経験で言うと

尖足を知らないスタッフが

たーーーっくさんいるんですよ。(ほぼ100%)

在宅介護をされてるご家族に至っては

全く尖足なんて知らないでしょう。

笑えないですよ。これは。

▼尖足とは、
読んで字の如く

見た目に「尖った状態の足」です。

バレリーナが爪先立ちしている様な足です。

この状態のまま

足首がほとんど曲がらない状態の足を尖足と呼びます。

もしくは、通常の足関節の可動域に比べ

極端に可動域が小さくなった足関節の状態を指しています。

▼尖足になると、どうなるか
尖足になると立てなくなります。

足の裏を床に付けて体重を支えることが困難になります。

座位は、出来ない事はありませんが厳しくなります。

抱える介助が多くなります。

介助の負担が増えます。

臥床時間が増えます。

ADLが低下していきます。

▼尖足になる原因

医学的には四つに大別していますね。

1)先天性の変形に起因する尖足

2)脊髄性麻痺に起因する尖足

3)痙性麻痺に起因する尖足

4)長期間の寝たきり状態に起因する尖足

この中で

介護で注意が必要な尖足は3番と4番。

3番は、脳卒中の後遺症で

介護が必要になった方に注意が必要です。

痙性麻痺(けいせいまひ)と言われる、

筋肉がつっぱったまま動かなくなる状態を引き起こすと

足関節が伸ばされたままの尖足になります。

4番は「習慣性尖足」と呼ばれています。

長期間の寝たきり状態の時に起こりやすい尖足です。

脳卒中でなければ

高齢者介護でみられる尖足は

先ず習慣性尖足だと考えていいでしょうね。

同じ現象は若い人でも起こりますよ。

例えば、手首足首の骨折の時にね。

一か月間ギプスをはめ関節を固定すると

ギプスを外した直後は曲がる範囲が小さくなるでしょ。

手首足首が元のように動かないのは一時的ですよね。

その後、普段の生活をしていれば

自然と関節を曲げる動きをするようになり

少しずつ関節の可動域を取り戻していくのが普通です。

習慣性尖足であるならば

普段の生活の中で足首を曲げる動作をすれば

改善が可能ですし、予防もできます。

▼習慣性尖足が起こる理由とその対策
もうお分かりだと思います。

習慣性尖足が起こる理由は二つです。

1)足首を曲げる機会が極端に少なくなった

2)足首を伸ばしたままの時間が極端に長い

どちらも同じことのようですが、違います。

理由1番の対策は、

椅子や車いすに座る時間を作り

生活自体を変えること。

これだけだと十分でない場合があるので

足首の曲げ伸ばし運動メニューを加えるとか。

とにかく足首を曲げる機会を増やして

生活の中に組み入れることですよね。

理由2番になる原因は

掛け布団の重みが足に乗って足関節を伸ばすからです。

とすれば対策は、

掛け布団の重みが直接足の甲に乗らない環境にすることです。

例えば

足の周りに段ボールの囲いで空間を作るとか、

掛け布団を足の形に合わせてふんわりと掛けるとか

などの方法があります。

既に尖足の傾向がみられているならば、

ベッドに寝ている時間だけでも

足首を曲げた状態をキープするポジショニングや

福祉用具の併用も考えたほうが良いでしょう。

寝たきりは寝てる時間が一番長いのです。

その時間を何もせず放って置く手はありませんね。

足の裏が常時何かに当たっている状態が

好ましくないとの見解もあるようですが

尖足になる方がもっと深刻な事態を引き起こします。

具体的な尖足予防ポジショニングの話は次回で。

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