ポジショニングのコツ「重量をクッションに移す」とは【vol.026】

ポジショニングでは「重量をクッションに移す」
と表現することがあります。

この意味するところを今回取り上げます。

重量とは「マスの重さ」のことを言っています。

マスとは、身体を構成しているパーツのことです。

パーツとしては8種類、計14個あり
頭×1、体幹×1、上腕×2、前腕×2、手×2
大腿×2、下腿×2、足×2、です。

マスは関節でつながっています。

●マスの重さをクッションに乗せることを「移す」と言います。
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重量を移すとどうなるか?
繋がった他のマスの負担が軽くなります。

椅子に座っている姿勢で見てみると、

肘掛けに上腕+前腕+手の重量を移せば
肩関節を通して体幹にぶら下がる重量、全体重の16%が消え、
体幹への負担が軽くなります。

体幹への負担とは、前屈しないように
背筋が伸びた姿勢を維持するために働いている筋肉群の負担です。
主に背中側にある背筋群の負担を軽くします。

高齢者にとって、体重の16%の重みが軽減される意味は大きく
好ましい座位姿勢の継続に繋がり、姿勢崩れを遅らせてくれます。

椅子や車いすにある肘掛けは重量を移すには不完全です。
重量を移すには、適度な高さと、広い面積が必要で、
そこで登場するのがポジショニングのためのクッションです。

膝の上にクッションを乗せ、
高さを調節しながら広い面積で重量を受けます。

座位において、上半身の重量のほとんどが坐骨に掛かります。
実際に臀部にかかる体圧分布を測定した画像を見ると
坐骨部が真っ赤になって、圧が集中しているのが確認できます。

両腕の重量を上手に肘掛けやクッションに移すことが出来ると
坐骨に乗っかる重量が軽減され、しびれや痛みが多少なりとも和らぎ
床ずれ発生のリスクが下がります。

●枕はポジショニング用クッションです。
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実は、枕はポジショニング用クッションの最たる物です。
枕ほどポジショニングの重要さを納得させてくれる物はありません。

枕には、ポジショニングのエッセンスが全て詰まっています。

頭から首、肩に掛けた部分を安定して支え、呼吸しやすい状態を維持する、
筋肉をリラックスさせてくれる枕を選びますね。
選択のカギとなるのが、高さであり、素材、形状です。

この三つが上手くフィットした時に
頭というマスが、体幹から開放されます。

要は、枕選びと同じように各マスの重量をクッションで受けるだけ。
すごく簡単でしょ^^

●仰臥位における両腕と両脚の重量はどう移せばいいか…。
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両腕の重量はどうやって移せばいいでしょうか?

猫背、多少円背気味の人の肩関節は宙に浮いています。
つまり、上腕の重みが肩関節とマットレスに乗っています。

肩関節に乗った上腕の重み分は、
体幹に乗っかり背中の圧迫を強くします。

そうならないように、肩から上腕に掛けて全体をクッションで受け、
重量を移すことが重要となります。

重量が完全に移っている感覚を寝ている方が分かると
クッションに安心して身体を預けるようになります。
すると、リラックスするので筋緊張が緩んできます。

両脚の重量はどうでしょう。

柔らかいマットの上に寝ていると気付きにくいのですが
両脚の重量が一番乗っかっている箇所は、臀部とかかとです。

硬い床の上に寝てみると、太ももの裏やひざ裏、
足首裏の辺りはほとんど床と接触していません。

これが柔らかいマットレスに寝たとしても同じです。
マットレスが平面である限り、臀部とかかとに圧迫は集中します。

より体圧分散を図るなら、大腿と下腿、二つのマスの重みを
しっかり受ける面を設ける必要があります。

両脚の下に適当な厚みのクッションを挿入して
大腿と下腿の重みをクッションに移し
臀部とかかとがこれまで負担していた重量を開放します。

結果、臀部とかかとの圧迫が軽減されます。
かかとに至っては、完全に宙に浮き、
圧迫が排除される場合もあります。

このようにして、マスの重量をクッションに移すと
リラックス出来て、安心出来て、
筋緊張を緩めることが可能となります。

「重量をクッションに移す」
早速使ってみましょう^^

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